ページが見つかりませんでした – 三浦真弘司法書士・行政書士事務所|神奈川県藤沢市 https://www.miuraoffice.com Sat, 10 Sep 2022 15:02:45 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 リスクマネジメントと取締役の責任(判例紹介) https://www.miuraoffice.com/blog-riskmanagementcase/ Sat, 10 Sep 2022 14:46:00 +0000 https://www.miuraoffice.com/?p=1746 1.取締役の義務

株式会社と取締役との関係は、委任に関する規定に従うものとされており(会社法330条)、取締役は、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務(善管注意義務)を負うものとされています(民法644条)。
また、取締役は、法令や定款、株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならないものとされています(忠実義務、会社法355条)。
そのため、万一、これらの義務に違反した場合には、取締役に法的な責任が発生する可能性があることになります。
もっとも、これらの義務の具体的な内容は、法律では明らかにされていませんので、取締役が業務を行う中で個別に検討していく必要があるものと思われます。
では、リスクマネジメントの分野において、取締役に何らかの法的な責任が発生する可能性はあるのでしょうか。
特に、大企業に関する裁判の事例から、中小企業におけるリスク管理体制の必要性を考察したいと思います。

2.リスクマネジメントに関する判例紹介

(1)リスク管理体制の構築義務違反の有無等が問題となった事例(旧大和銀行株主代表訴訟判決)

旧大和銀行株主代表訴訟判決(大阪地判平成12年9月20日)の一部をご紹介します。
この事件は、旧大和銀行ニューヨーク支店の従業員が不正な取引を行った結果、同銀行に損失を生じさせたことに伴い、役員の責任が問題となった株主代表訴訟です。
本判決で役員に巨額の賠償が命じられたことから社会の注目を集め、併せて株主代表訴訟などの見直しを議論するきっかけにもなりました。
この事件の中で、旧大和銀行のリスク管理体制の構築と役員の責任が問題となり、大阪地裁は次のように判示しました。
(他の部分や別事件の内容は割愛します。)

「健全な会社経営を行うためには、目的とする事業の種類、性質等に応じて生じる各種のリスク、例えば、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスク等の状況を正確に把握し、適切に制御すること、すなわちリスク管理が欠かせず、会社が営む事業の規模、特性等に応じたリスク管理体制(いわゆる内部統制システム)を整備することを要する。そして、重要な業務執行については、取締役会が決定することを要するから(商法260条2項)、会社経営の根幹に係わるリスク管理体制の大綱については、取締役会で決定することを要し、業務執行を担当する代表取締役及び業務担当取締役は、大綱を踏まえ、担当する部門におけるリスク管理体制を具体的に決定するべき職務を負う。この意味において、取締役は、取締役会の構成員として、また、代表取締役又は業務担当取締役として、リスク管理体制を構築すべき義務を負い、さらに、代表取締役及び業務担当取締役がリスク管理体制を構築すべき義務を履行しているか否かを監視する義務を負うのであり、これもまた、取締役としての善管注意義務及び忠実義務の内容をなすものと言うべきである。」
「どのような内容のリスク管理体制を整備すべきかは経営判断の問題であり、会社経営の専門家である取締役に、広い裁量が与えられていることに留意しなければならない。」
※法令名や条文番号は、判決当時のまま引用しています。

(2)内部統制システム構築義務違反の有無が問題となった事例

上場会社において内部統制システム構築義務違反の有無が問題となった事例(最判平成21年7月9日)をご紹介します。
この事件は、Y社(旧東証2部上場)の従業員らが、営業成績を上げる目的で架空の売上げを計上したため、Y社の有価証券報告書に不実の記載がされていたところ、その後不正行為が発覚し、Y社が事実を公表した結果、Y社の株価が下落したことについて、公表の数か月前にY社の株式を購入したXが、Y社の代表者に従業員らの不正行為を防止するためのリスク管理体制構築義務違反の過失があったなどと主張して、Y社に対し、損害賠償請求をした事案です。
今回の事例に関する判決ではありますが、最高裁は、以下のような点を考慮して判断しました。

本件不正行為当時、
①Y社は通常想定される架空売上げの計上等の不正行為を防止し得る程度の管理体制は整えていたこと、
②本件不正行為は、通常容易に想定し難い方法によるものであったこと、
③本件以前に同様の手法による不正行為が行われたことがあったなど、Y社の代表者において本件不正行為の発生を予見すべきであったという特別な事情が見当たらないこと、
④Y社におけるリスク管理体制が機能していなかったということはできないこと、
から、Y社の代表者にリスク管理体制を構築すべき義務に違反した過失があるとはいえないと判断しました。

3.まとめ

上記の判例は大企業に関するものであり、また、現在の会社法では、いわゆる内部統制システムの構築義務は、会社法上の大会社などに限られています。
しかし、2(1)の大阪地裁判決によりますと、どのようなリスク管理体制を整備すべきかは経営判断の問題ではあるものの、会社が営む事業の規模、特性等に応じたリスク管理体制を整備することは、取締役としての善管注意義務や忠実義務の内容をなすものであるとも考えられます。
また、2(2)の最高裁判決は、不正行為に関する事例の判決ではありますが、通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制を整えていたことを基準の1つとしており、コンプライアンスを重視する昨今においては、そのレベルのリスク管理体制は、会社の規模を問わず必要とされているようにも思われます。
そのため、どのような規模の会社であっても、自社の事業内容や規模に応じて、リスクマネジメントを意識した会社経営を行うことが重要であるものと考えます。

4.当事務所のサポート例

当事務所では、各社様のご要望を伺いながら、下記のご依頼などを承っております。
なお、リスクマネジメントや事業継続計画(BCP)につきましては、「中小企業のリスクマネジメントと事業継続計画(BCP)」もご参照いただけますと幸いです。

・自社のリスクマネジメントについて一緒に検討してほしい。
・事業継続計画(BCP)や各種規程などの作成、見直しをサポートしてほしい。
・実務対応などのコンサルティングをしてほしい。
・社内研修の講師を依頼したい。
・顧問契約により継続的なサポートをしてほしい。

オンラインのご相談などにも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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女性の起業をサポートします! https://www.miuraoffice.com/blog-womensstartups/ Tue, 23 Aug 2022 10:47:00 +0000 https://www.miuraoffice.com/?p=1724 ※ご希望がございましたら、女性以外の方でも、本サポートをご利用いただけます。

1.なぜ当事務所が女性の起業・創業支援なのか

(1)背景

数年前、仕事をしながら社会人向けの大学院(修士課程)に在籍し、「女性活躍推進とジェンダー」について、主に法学の視点から研究を行っていました。
その中で、女性の方々の働き方の実態を知り、わが国における女性活躍推進の課題などを目の当たりにしました。
その後、さらに視野を広げるため、スタンフォード大学が提供するオンライン講座「International Women’s Health & Human Rights」を受講しました。
英語に不慣れなうえ、毎週のようにショートレポートの提出がありましたが、何とか修了することができました。
世界の女性の現状を学んだことで、女性が女性らしく生きること、働くことへの意識が強くなりました。
時を同じくして、わが家に子供が生まれ、私自身も育児や家事をしながら仕事をする生活が始まりました。
まずは自分の家庭からということで、現在、わが家の女性活躍推進に取り組んでいるところです。

(2)当事務所と起業・創業支援

当事務所では、2010年の開業以来、藤沢商工会議所などとも連携して、起業・創業支援を行っています。
特に、藤沢商工会議所主催の起業講座「独立Navi」には、例年、講師として参加させていただいています。
この講座では、契約や会社設立といった法務面の講義のほか、受講生の方々の事業計画書作成のサポート、最終日に行われるプレゼンテーションの審査などを担当しています。
また、中小企業119(中小企業庁委託)や藤沢商工会議所などの相談員、神奈川県商工会連合会小規模企業サポーターとして、起業や経営、小規模事業者持続化補助金などのご相談を承っています。

2.当事務所のサポート例

当事務所では、ご依頼者様のご要望を伺いながら、下記のサポートなどを承っております。
なお、昨今の社会情勢を考慮して、可能な限りオンラインで対応しております。

(1)事業計画書作成サポート

事業を始めるにあたっては、まずは事業計画書を作成することが重要です。
また、事業計画書は起業・創業時のみならず、事業活動を行う中で補助金を申請したり、融資を受けられたりする際にも必要となります。
そのため、いったん作成のノウハウを身につけていただくと、その後の事業活動においても有益です。
原則として、ご依頼者様に事業計画書を作成していただきますが、当方で事業内容のヒアリングを行い、事業計画書を確認させていただきます。
なお、事業計画書には様々な書式がありますが、おおむね以下の内容を記載することになるものと思われます。

・事業に関すること:事業概要、販売先や仕入先の予定、ご本人の経歴など
・マーケティングに関すること:市場調査、自社の位置づけ、競合分析など
・お金に関すること:資金計画(開業資金の準備状況や使い方)、収支計画(最低2期分)など

(2)法律文書作成サポート

事業内容、顧客や取引先との関係性などにもよりますが、例えば、BtoCビジネスの場合には利用者向けの規約など、BtoBビジネスの場合には取引先との間の契約書などが必要になることがあります。
また、サロンなどを始められる場合には、利用者向けに同意書などをご準備されることもあろうかと思います。
原則として、ご本人に作成していただいたものを当方で確認させていただきますが、内容やご希望に応じて、当方でヒアリングのうえ、作成することも可能です。

(3)法人設立サポート(法人で起業・創業したい方)

法人で起業・創業したい場合には、ご希望に応じて、法人設立をサポートさせていただきます。
例えば、株式会社の設立の場合、定款や登記に必要な書類の作成、公証役場での定款認証手続き、法務局での登記申請手続きなどに対応しています。

(4)その他のサポート

上記のほか、起業・創業後も含めて、様々なご依頼を承っております。
なお、事業活動に関するサポートのほか、ファイナンシャルプランナー(CFP®)として、家計やライフプランなどに関するサポートにも対応しております。
詳細は、こちらのウェブサイトをご覧ください。

・事業に必要な許可や認可について相談したい。
・ウェブサイトに掲載するプライバシーポリシーの内容を検討したい。
・個人情報保護規程など内部向けの書類を整備したい。
・小規模事業者持続化補助金などを申請したい。
・起業・創業後も継続的なコンサルティングをしてほしい。
・取引先から提示された契約書の内容やリスクについて説明してほしい。
・社内研修や勉強会などで講義を依頼したい。

3.サポート費用

ご依頼の内容などにより費用は異なりますが、ご参考までに目安を掲載させていただきます。
なお、概算費用のお見積りは無料です。

・事業計画書作成サポート:おおむね30,000円(消費税別)~
・法律文書作成サポート:おおむね30,000円(消費税別)~
・法人設立サポート(株式会社):おおむね100,000円(消費税別)~ ※公証役場や法務局の実費別
・その他のサポート:内容により応相談

オンライン相談にも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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中小企業のリスクマネジメントと事業継続計画(BCP) https://www.miuraoffice.com/blog-bcp/ Mon, 22 Aug 2022 07:52:00 +0000 https://www.miuraoffice.com/?p=1700 1.はじめに

事業活動を行う中で、様々なトラブルなどに見舞われることがあります。
特に、昨今の社会情勢においては、大規模な災害や感染症など、事業継続を脅かす事態が起こりうる可能性があります。
当事務所でも、2010年の開業から約半年後に東日本大震災が起こり、また、開業から約10年後の2020年には新型コロナウイルス感染症が世界的規模で拡大する事態に直面しています。
そのような状況下においても、いかにして事業を継続していくか、予想される課題やリスクをあらかじめ洗い出し、その対応策を検討し、事業継続計画(BCP, Business Continuity Plan)や必要となる規程などを整備しておくことが重要です。
もっとも、「リスクの検討や対策、事業継続計画が重要だとは聞くけど、何から手をつけたらよいのだろう?」と思われる中小企業の方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、今回は、中小企業のリスクマネジメントや事業継続計画(BCP)の作成などの実務対応の流れを整理してみたいと思います。
なお、リスクマネジメントに関する取締役の責任につきましては、よろしければ「リスクマネジメントと取締役の責任(判例紹介)」も併せてご参照ください。※2022年9月10日追記

2.実務対応の流れ

事業継続計画(BCP)とは、「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと」をいうものと考えられています(中小企業庁ウェブサイト「中小企業BCP策定運用指針」1.1 BCP(事業継続計画)とは より引用)。
事業内容や規模などにもよりますが、事業継続計画(BCP)などの作成にあたっては、おおむね以下の流れで進めていくことになるものと思われます。
なお、マンパワーの不足や資金的な事情などにより、事業継続計画(BCP)の作成が困難だと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
その場合には、自社で対応できることから、対応できる形で進めていただくとよいように思います。
もちろん、事業継続計画(BCP)の作成には大きな意義がありますが、例えば、事業継続のためのリスクを把握し、対応策を検討されるだけでも、今後の事業活動において有益であるものと考えます。

(1)事前準備
(2)リスク分析
(3)対応策の検討
(4)事業継続計画(BCP)などの作成
(5)社内研修
(6)定期的な点検

(1)事前準備

まずは、事業継続計画(BCP)などの作成にあたり、誰がどのような役割を担うか、社内の組織体制を確認、検討します。
役員会(取締役会など)、経営企画や経営会議を担当する部署などが社内にあるようでしたら、それらの部署が担当してもよいでしょうし、必要に応じてプロジェクトチームなどを立ち上げてもよいと思います(本稿では、事業継続計画を担当する組織を、便宜「担当部署」といいます)。
併せて、事業継続計画(BCP)の方向性を定めるため、担当部署において基本方針や優先事項などを検討しておくと、その後の実務対応への備えとして効果的かと考えます。

(2)リスク分析

事業継続計画(BCP)の作成の中心となるリスクの確認、分析を行います。
一般的に、社内の部署ごとに起こりうるリスクは異なるものと考えますので、統一の書式などを用意し、各部署において下記の各項目をリスト化すると、情報の共有などの際に便利です。
なお、ビジネス書籍などでは、タスクを緊急度と重要度から分類していく時間管理マトリックスが紹介されていることがあります(スティーブン・R・コヴィー『完訳 7つの習慣』250頁(キングベアー出版,2016)など)。
リスク分析にあたり、このような手法を利用されることも効果的かと考えます。

ア リスクの洗い出し
万一の事態が発生した時に想定されるリスクの洗い出しを行います。
最初の洗い出しの段階では、最悪の事態を想定して、各部署において細かくリスクを確認します。
現場の状況については、経営者層よりも各部署の方が精通している可能性がありますので、まずは現場の視点からリスクを細かくリスト化していきます。

イ 影響度の確認
上記アで洗い出したリスクについて、事業への影響度を確認します。
仮に、あるリスクの発生する可能性が高かったとしても、必ずしも事業への影響度が高いとは限りません。
そのため、事業継続のために確実に必要なものなのか、復旧などが臨ましいがそれがなくても一応事業が継続できたり、他の物事で代用できるようなものなのか、などを確認します。

ウ 優先順位の検討
上記ア、イを踏まえて、各リスクへの対応の優先順位を検討します。
前述の時間管理マトリックスを利用している場合には、「緊急かつ重要」にあたる部分から優先的に対応することになります。
なお、各部署におけるリスク分析の結果、各部署においては「緊急かつ重要」にあたる事項であっても、事業継続計画(BCP)などを作成する際に、担当部署において異なる判断がなされることもあり得ます。
そのような場合には、必ずしも担当部署の見解を優先するのではなく、双方において意見交換などの機会を設けることが重要です。

(3)対応策の検討

各部署におけるリスク分析の結果を、担当部署に提出します。
担当部署では、上記のリスク分析の結果を踏まえて、各リスク項目に関する対応策を検討します。
対応策については、自社の事業継続への必要性はもちろんのこと、取引先への影響、資金的な面、関係法令との関係など、幅広い視点から検討することが重要です。
そして、事業継続計画(BCP)などに実際に記載する事項と、そうでない事項を分けていきます。
なお、事業継続計画(BCP)などに記載しない事項であったとしても、必ずしも重要度が低いとは限りません。
そのため、必要に応じて別途マニュアルや補足資料、Q&Aなどを作成し、社内で共有するとよいと思います。

(4)事業継続計画(BCP)などの作成

上記の分析や検討結果を踏まえて、事業継続計画(BCP)を実際に作成します。
ただし、事業継続計画(BCP)などを単に作成しただけでは、社内への周知が不十分なことも予想されます。
そこで、下記のとおり、事業継続計画(BCP)に関する社内研修などを行うことが効果的かと考えます。
さらに、事業継続計画(BCP)は時間の流れとともに対応策などが陳腐化していくことが予想されますので、定期的な見直しが必要となります。
これらの点から、事業継続計画作成以降の社内研修や見直しなどの計画、その他、必要に応じて社内の規程類の整備(すでに作成されている規程類の修正も含みます)なども含めて検討しておくとよいと思います。

(5)社内研修

事業継続計画(BCP)などを作成したら、社内への周知を行い、全社的に共有することが必要です。
もっとも、単に会社の規程類の共有フォルダーなどにアップロードしただけでは、社員が理解し、計画に従って行動することは困難かと思われます。
そこで、事業継続計画(BCP)の作成後に社内研修を実施し、社員への周知を徹底することが重要です。
社内研修の際には、計画内容の紹介にとどまらず、作成の趣旨や背景なども含めて伝えると効果的かと考えます。

(6)定期的な点検

事業継続計画などを実際に運用していると、時間の流れとともに対応策などが陳腐化する可能性があります。
また、項目によっては、よりよい対応策が発見されたり、計画内容と現実とで異なる部分が生じてくることもあり得ます。
そこで、事業継続計画(BCP)などを作成後、少なくとも1年に1回は内容の見直しを行うことが必要かと考えます。

3.まとめ

万一の事態に備えて、事業継続計画(BCP)などを作成し、全社的に共有しておくことは非常に重要です。
事業継続計画(BCP)などの作成にあたっては、上記のとおり、事前準備→リスク分析→対応策の検討→事業継続計画(BCP)などの作成→社内研修→定期的な点検という流れで進めていくことが考えられます。
もっとも、上記の流れで進めていくことが困難な場合には、対応できる部分から進めていただくとよいように思います。
これまでの事業活動に、リスクマネジメントの視点を取り入れていただくきっかけとなりましたら幸いです。

4.当事務所のサポート例

当事務所では、各社様のご要望を伺いながら、下記のご依頼などを承っております。

・事業継続計画(BCP)などの作成のサポートをしてほしい。
・既に作成している事業継続計画(BCP)などを見直したい。
・実務対応などのコンサルティングをしてほしい。
・社内研修の講師を依頼したい。
・顧問契約により継続的なサポートをしてほしい。

オンラインのご相談などにも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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契約書や契約のご相談 https://www.miuraoffice.com/blog-contractlaw/ Sun, 20 Feb 2022 13:39:58 +0000 https://www.miuraoffice.com/?p=1670 1.はじめに

当事務所では、契約書や契約に関して、以下のようなご相談を承ることがあります。
そこで、今回は一つずつ検討し、回答させていただきます。

①取引先からの業務の依頼を電話(口頭)で受けていますが、問題ありませんか?
②インターネットなどでダウンロードした契約書を、そのまま使って大丈夫ですか?
③取引先から契約書を提示されましたが、その内容に従うしかありませんか?
④毎月、何件か結ぶ契約書を、継続的に確認してもらうことは可能ですか?
⑤契約や契約書の基本などについて、社内向けの研修を行ってもらうことは可能ですか?

2.ご相談内容への回答

(1)口頭での契約(ご相談①について)

①取引先からの業務の依頼を電話(口頭)で受けていますが、問題ありませんか?

契約は、原則として口約束(電話や口頭など)で成立しますので、契約自体は有効かと考えます。
しかし、電話(口頭)のみで業務の依頼を受けていますと、内容の聞き間違いや、後で言った言わないなどの問題が生じる可能性があります。
そのため、リスクマネジメントの点からも、依頼内容を文書化して、目に見える形でお互いに内容を確認しておく方がよいものと考えます。
そのようにして契約書などを交わしていただくのが理想ですが、業種や業態によっては、その都度、契約書を交わすことが難しいこともあるかもしれません。
その場合には、例えば発注書と受書などのやり取りで対応されることも方法かと考えます。

(2)契約書のひな形の利用(ご相談②について)

②インターネットなどでダウンロードした契約書を、そのまま使って大丈夫ですか?

最近はインターネットや市販の書籍などが充実し、契約書のひな形が容易に手に入るように思います。
そのため、契約書という書類自体は、そんなに苦労なく準備できるかもしれません。
もっとも、インターネットなどでダウンロードした契約書が、今回の契約にそのまま当てはまるかどうかは別の話です。
私自身、日常の業務のほか、商工会議所などでも契約のご相談を承ることがありますが、ご相談者様がお持ちになられた契約書(インターネットなどでダウンロードして印刷したもの)について話を伺うと、実際の契約内容と異なっていることがしばしばあります。
そのようなこともあり、インターネットなどでダウンロードした契約書をお使いになる場合には、その契約書が今回の契約内容と合っているかどうかを、慎重に確認されることをお勧めします。

(3)取引先から提示された契約書(ご相談③について)

③取引先から契約書を提示されましたが、その内容に従うしかありませんか?

取引先によっては、契約書の定型的なひな形を用意しており、それを提示されることもあろうかと考えます。
この場合、まずは提示された契約書に記載されている内容を、細かく確認していただくことが重要です。
そして、状況によって異なりますが、もし契約内容の中に自社で応じられない部分があるようでしたら、先方と交渉されることも方法かと考えます。
契約は、お互いの意思表示の一致により成立しますので、必ずしも取引先に修正してもらえるとは限りませんが、そのまま契約を結べば、その内容に納得して契約したということになりかねません。
そのため、対応方法を慎重にご検討いただいた方がよいように思われます。

(4)契約書の継続的な確認(ご相談④について)

④毎月、何件か結ぶ契約書を、継続的に確認してもらうことは可能ですか?

可能です。
毎月、継続的に契約書などの書類確認をご依頼いただける場合には、当方と顧問契約を結んでいただくことも方法かと考えます。
確認する書類の通数や分量などによって費用は異なりますが、例えば、6か月間や1年間など期間を区切ってご依頼ただくことも可能です。
また、契約書以外の書類でも、定期的に発生する議事録や法律文書(司法書士や行政書士の業務に含まれる書類)などの確認をご依頼いただくことも可能です。
ご希望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

(5)契約に関する社内研修(ご相談⑤について)

⑤契約や契約書の基本などについて、社内向けの研修を行ってもらうことは可能ですか?

可能です。
これまで、個別の企業様での社内研修や商工会議所でのセミナー、学生さん向けの法律講座などで、契約をテーマにした講義を担当させていただきました。
契約や契約書の基本的なルールから、サンプル契約書を使った実践的なチェック方法のご紹介まで、様々な内容の講義に対応しております。
オンライン講義も可能ですので、ご希望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

3.当事務所のサポート例

当事務所では、各社様のご要望を伺いながら、下記のご依頼などを承っております。

・取引先と契約を結ぶにあたり、契約書を作成してほしい。
・自社で作成した契約書の内容を確認してほしい。
・取引先から提示された契約書について、その内容やリスクを教えてほしい。
・毎月発生する契約書や議事録などの書類を、継続的に確認してほしい。
・契約(書)の基本や実践的なチェック方法などについて、社内研修での講義を依頼したい。

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個人情報保護法の改正と実務対応 https://www.miuraoffice.com/blog-privacylaw/ Mon, 07 Feb 2022 14:22:31 +0000 https://www.miuraoffice.com/?p=1624 1.はじめに

令和2年(2020年)6月5日、個人情報保護法が改正(以下、「令和2年改正」といいます)され、令和4年4月1日から施行(一部施行済み)される予定です。
「個人情報保護法が改正されると聞いたけど、どこから手をつけたらよいのだろう?」と思われている方や、現時点では個人情報保護法に関する規程類の整備などが追い付いていないという方もいらっしゃるかもしれません。
今回の改正を機に、実務対応や規程類などを見直されることも方法かと考えます。
そこで、個人情報保護法の改正や規程類の整備などの実務対応に向けた流れをまとめてみたいと思います。
なお、個人情報保護法は令和3年にも改正されていますが、本稿には大きな影響はないものと考え、令和3年の具体的な改正内容は割愛します。

2.令和2年改正の主な内容

個人情報保護法の令和2年改正の主な内容は、以下のとおりです(「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」の概要等について 『概要資料』(個人情報保護委員会)参照)。

(1)個人の権利の在り方

・利用停止・消去等の個人の請求権についての要件の緩和
・保有個人データの開示方法の拡大(電磁的記録による提供の請求可)
・第三者提供記録を開示請求の対象に追加
・保有個人データの開示、利用停止等の対象範囲拡大(短期保存データを追加)
・オプトアウト規制の強化

(2)事業者の守るべき責務の在り方

・漏えい等の報告および本人への通知の原則的な義務化
・不適正な方法による個人情報の利用の禁止

(3)事業者による自主的な取組を促す仕組みの在り方

・認定団体制度の認定範囲の拡大(企業の特定分野(部門)を対象とする団体認定可)

(4)データ利活用に関する施策の在り方

・仮名加工情報の創設と一定条件下での開示・利用停止請求への対応等の義務を緩和
・個人関連情報の第三者提供について本人同意が得られていること等の確認の義務化

(5)ペナルティの在り方

・個人情報保護委員会による命令違反・個人情報保護委員会に対する虚偽報告等の法定刑の引上げ
・法人に対する罰金刑の最高額の引上げ(法人重科)

(6)法の域外適用・越境移転の在り方

・域外適用の拡大(日本国内にある者の個人情報等を取り扱う外国事業者に個人情報保護法を適用)
・外国にある第三者への個人データの提供の制限

3.個人情報保護法の実務対応

事業内容や規模、個人情報の取扱状況にもよりますが、個人情報保護法の改正や規程類の整備などの実務対応に向けて、おおむね以下の流れで進めていただくと良いように思います。
なお、以下の内容には、今回の改正の対象となっていない部分も含まれています。
そのため、すでに対応されている部分があるようでしたら、その点については重ねて対応される必要はないものと思われます。

(1)現状把握

まずは、現在、事業活動を行っている中で、どのような個人情報を保有しているか、それらはどのような目的で、どのように取得し、どのように利用しているか、などの現状を把握します。
これらの内容をリスト化しておくと、様々な場面で活用できて便利かと考えます。
後ほどご紹介するとおり、個人情報保護法では、個人情報の取得、利用、保管などの場面に分けてルールが定められています。
そのため、リスト化した内容とルールを照らし合わせて、現在または今後予定されている自社の運用が、個人情報保護法に沿うように行われているかを確認できると効果的です。
また、今回の個人情報保護法の改正により、見直しが必要となる項目、改正とは関係ない項目などと区別できると、後々の作業もスムーズに進むものと思われます。

(2)取得、利用、保管のルールの概要

ア 取得
個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはなりません。
また、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を本人に通知し、または公表しなければなりません。
特に、本人との間で契約を締結することに伴って契約書等に記載された本人の個人情報を取得する場合や、本人から直接書面等に記載された個人情報を取得する場合は、原則として、あらかじめ本人に対し、その利用目的を明示しなければなりません。
ここで、利用目的の定め方が問題となりますが、個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用目的をできる限り特定することとされています。
具体的には、例えば、事業者が商品の販売に伴い、個人から氏名・住所・メールアドレス等を取得するに当たり、「○○事業における商品の発送、関連するアフターサービス、新商品・サービスに関する情報のお知らせのために利用いたします。」等の利用目的を明示している場合には、具体的に利用目的を特定しているものと考えられています(個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(以下、「ガイドライン」といいます)31頁)。

イ 利用
個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはなりません。
また、違法または不当な行為を助長し、または誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはなりません(令和2年改正)。

ウ 保管
個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、その個人データを遅滞なく消去するよう努めなければなりません。
また、その取り扱う個人データの漏えい等が発生した場合には、原則として、個人情報保護委員会に報告し、本人に対し、そのような事態が生じた旨を通知しなければなりません(令和2年改正)。

(3)第三者提供のルールの概要

個人情報取扱事業者は、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはなりません。
ただし、これには重要な例外があり、例えば、本人の求めがあれば事後的に停止することを前提に、提供する個人データの項目等を公表等した場合(オプトアウト)や、個人データの取扱いを委託する場合、個人データを共同利用する場合には、一定のルールのもとで、本人の同意なく個人データを提供することができるものとされています。
なお、個人情報取扱事業者は、個人データを第三者に提供したときは、個人データを提供した年月日、その第三者の氏名または名称、その他の事項に関する記録を作成し、一定期間保存しなければなりません。

(4)安全管理措置の検討

個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失または毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければなりません。
具体的には、個人データの適正な取扱いの確保について組織として取り組むための基本方針を策定し、組織的安全管理措置(組織体制の整備など)人的安全管理措置(従業者の教育など)物理的安全管理措置(個人データを取り扱う区域の管理など)技術的安全管理措置(アクセス制御など)外的環境の把握(外国において個人データを取り扱う場合)などの措置を講じることとされています(ガイドライン「10 (別添)講ずべき安全管理措置の内容」162頁以下、ただし、中小規模事業者の例外あり)。

(5)各種規程の作成、修正と社内共有

個人情報取扱事業者は、保有個人データに関し、次に掲げる内容を公表(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含みます)しなければなりません。

・個人情報取扱事業者の氏名または名称、住所、法人の場合はその代表者の氏名(令和2年改正)
・全ての保有個人データの利用目的
・保有個人データの開示、訂正、利用停止等の請求に応じる手続(手数料を含む)
・保有個人データの安全管理のために講じた措置(令和2年改正)
・保有個人データの取扱いに関する苦情の申出先
・認定個人情報保護団体の場合は、その認定個人情報保護団体の名称および苦情の解決の申出先

これらの内容を公表するため、自社のウェブサイト上にプライバシーポリシーとして掲載したり、またはすでに掲載済みの場合には、必要に応じて改正部分を修正したりすることになるものと思われます。
また、前述の安全管理措置の一環として、基本方針の策定、組織的安全管理措置、人的安全管理措置、物理的安全管理措置、技術的安全管理措置などに関する規程類を策定、修正することも考えられます。
その他、自社の個人情報保護方針などを理解するため、社内研修などを行うことも重要かと考えます。

4.その他の注意点

(1)要配慮個人情報がある場合

要配慮個人情報とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとされている記述等(身体障害、知的障害、医師による診療、健康診断の結果等)が含まれる個人情報をいいます。
個人情報取扱事業者は、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで、このような要配慮個人情報を取得してはならないこととされています。

(2)匿名加工情報や仮名加工情報を利用する場合

匿名加工情報とは、個人情報に含まれる記述等の一部を削除等して、特定の個人を識別することができないようにした個人に関する情報であって、その個人情報を復元することができないようにしたものをいいます。
また、仮名加工情報とは、個人情報に含まれる記述等の一部を削除等して、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないようにした個人に関する情報をいいます(令和2年改正)。
これらの違いは、特定の個人を識別できないようにするために、どの程度の措置が求められるか、という点になります。
匿名加工情報や仮名加工情報を利用する場合には、それぞれ個別に細かい義務などが定められていますので、注意が必要です。

(3)外国にある第三者に提供する場合

個人情報取扱事業者は、外国にある第三者に個人データを提供する場合には、原則として、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意を得なければならないこととされています。
なお、この場合には、オプトアウト、委託、共同利用などによる提供はできないこととなっています。

5.当事務所のサポート例

当事務所では、各社様のご要望を伺いながら、下記のご依頼などを承っております。

・個人情報保護規程などを作ってほしい。
・ウェブサイトに掲載しているプライバシーポリシーの内容を見直したい。
・個人情報保護法の改正に合わせて作り直した規程などを確認してほしい。
・実務対応などのコンサルティングをしてほしい。
・社内研修の講師を依頼したい。

お気軽にお問い合わせください。

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会社分割の手続きと登記 https://www.miuraoffice.com/blog-companysplit/ Thu, 27 Jan 2022 14:13:03 +0000 https://www.miuraoffice.com/?p=1541 1.会社分割とは

会社分割とは、株式会社または合同会社が、その事業に関する権利義務の全部または一部を他の会社に承継させることをいいます。
例えば、不動産事業と小売事業を行っている株式会社が、他の株式会社に小売事業を切り分ける場合などに会社分割が利用されます。
会社分割は、第三者どうしの会社でのM&Aとして行われることもありますが、グループ会社の事業再編や経営の効率化を図るために利用されることもあります。
また、事業再構築補助金※において、「事業再編」が補助金の対象とされており、一定の要件を満たす会社分割が、その形態として認められています。

※事業再構築補助金の詳細につきましては、下記のサイトをご参照ください。
出典:「事業再構築補助金」(経済産業省ウェブサイト)
   https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

2.会社分割の種類

会社分割には、吸収分割と新設分割という2つのスタイルがあります。
吸収分割とは、その事業に関する権利義務の全部または一部を、現時点で存在している会社に承継させるスタイルをいいます。

これに対して新設分割とは、その事業に関する権利義務の全部または一部を、新たに設立する会社に承継させるスタイルをいいます。

どちらの場合も、会社分割が行われると、吸収分割契約や新設分割計画で定めた「事業に関する権利義務の全部または一部」が、1つのパッケージのような形で承継先の会社に承継されます(包括承継)。

3.会社分割の手続き

(1)吸収分割

吸収分割の手続きの概要は以下のとおりです。
なお、手続きの内容が吸収合併と類似する部分もありますので、よろしければ「合併の手続きと登記」も併せてご覧ください。

承継会社(事業に関する権利義務を承継する会社)と分割会社(事業に関する権利義務を分割する会社)との間で吸収分割契約を結び、一定の日から、吸収分割契約や一定の内容を記載(記録)した書面などをそれぞれ本店に備え置かなければなりません。

承継会社と分割会社は、効力発生日の前日までに、原則として、それぞれ株主総会の特別決議により、吸収分割契約について承認を得なければなりません。
ただし、吸収合併と同様に、略式吸収分割や簡易吸収分割の際には、株主総会の承認が不要となることがあります。

吸収分割に反対する株主に株式買取請求の機会を与えるため、承継会社と分割会社はそれぞれの株主に対して、原則として効力発生日の20日前までに通知しなければなりません。

承継会社の債権者は、吸収分割に異議を述べることができます。
そのため、吸収合併と同様に、債権者保護手続きを行わなければなりません。
これに対して分割会社の場合は、吸収分割後、分割会社に対して債務の履行を請求できない債権者のみ異議を述べることができます。
言い換えると、吸収分割後も分割会社に対して債務の履行を請求できる債権者は、異議を述べることができず、原則として債権者保護手続きの対象となりません。
そのため、吸収分割に異議を述べることができる分割会社の債権者がいる場合には、承継会社と同様に債権者保護手続きを行う必要があります。

会社法の手続きなどが滞りなく行われると、吸収分割契約で定めた効力発生日に、吸収分割の効力が発生します。
承継会社と分割会社は、効力発生日後遅滞なく、吸収分割により承継会社が承継した分割会社の権利義務、その他一定の内容を記載(記録)した書面などを本店に備え置かなければなりません。
また、吸収分割の効力発生後2週間以内に、管轄する法務局に登記を申請しなければなりません。

(2)新設分割

新設分割の手続きの概要は以下のとおりです。

分割会社が新設分割計画や新設分割により設立する会社の定款などを作成し、一定の日から、新設分割計画や一定の内容を記載(記録)した書面などを本店に備え置かなければなりません。

分割会社は、効力発生日の前日までに、原則として、株主総会の特別決議により、新設分割計画について承認を得なければなりません。
ただし、簡易新設分割の際には、株主総会の承認が不要となることがあります。

吸収分割の場合と同様に、分割会社の債権者は、新設分割後、分割会社に対して債務の履行を請求できない場合のみ異議を述べることができます。
そのため、新設分割に異議を述べることができる分割会社の債権者がいる場合には、債権者保護手続きを行う必要があります。

新設分割は、会社法の手続きなどが滞りなく行われた後、新設分割の登記をすることにより効力が発生します。
設立会社(新設分割により設立された会社)と分割会社は、効力発生日(設立会社の成立日)後遅滞なく、新設分割により設立会社が承継した分割会社の権利義務、その他一定の内容を記載(記録)した書面などを本店に備え置かなければなりません。

4.会社分割の注意点

会社分割を行う際には、上記のとおり、原則として、株主総会や債権者保護手続きを行い、登記を申請することとされています。
そして、分割会社の労働者を保護するため、会社分割を行うにあたり、分割会社の労働者と協議したり、通知することが必要になる場合もあります。
また、分割会社が許認可を保有している場合には、会社分割後に承継会社または設立会社がその許認可を引き継げるかどうかなどを検討する必要もあります。
さらに、内容によって、会社分割の登記と併せて、商号譲渡人の債務に関する免責登記を申請することもあります。
これらの手続きの内容により、会社分割を行うために必要となる期間が、大きく異なることもあり得ます。
そのため、会社分割を行う際には、期間に余裕をもって、手続きの内容やスケジュールなどをご検討いただくことをお勧めします。

当事務所では、合併や会社分割を中心に、各社様のご要望を伺いながら組織再編の手続きを承っております。
お気軽にお問い合わせください。

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合併の手続きと登記 https://www.miuraoffice.com/blog-merger/ Mon, 17 Jan 2022 13:34:00 +0000 https://www.miuraoffice.com/?p=1516 1.合併とは

合併とは、2つ以上の会社が1つに合わさることをいいます。
例えば、業界におけるシェアの拡大を狙う場合や、多角的な経営を行う場合のほか、グループ会社の事業再編やM&Aなどの場面で利用されることもあります。
また、事業再構築補助金※において、「事業再編」が補助金の対象とされており、一定の要件を満たす合併が、その形態として認められています。

※事業再構築補助金の詳細につきましては、下記のサイトをご参照ください。
出典:「事業再構築補助金」(経済産業省ウェブサイト)
   https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

2.合併の種類

合併には、吸収合併と新設合併という2つのスタイルがあります。
吸収合併とは、合併により消滅する会社の権利義務の全部を、合併後存続する会社に承継させるスタイルをいいます。

これに対して新設合併とは、合併により消滅する会社の権利義務の全部を、合併により設立する会社に承継させるスタイルをいいます。

どちらの場合も、合併すると、合併した会社が事業を継続し、合併された会社は解散(消滅)することになります。
また、合併にあたって、存続(または設立)する会社が事業を引き継ぐ代わりに、存続(または設立)する会社から消滅する会社の株主などに合併対価を与える場合があります。
例えば、吸収合併にあたって存続するA株式会社が、合併対価として、消滅するB株式会社の株主に自社(A株式会社)の株式を発行することがあります。
この場合には、B株式会社の株主は、合併後はA株式会社の株主になります。

3.吸収合併の手続き

A株式会社を存続会社(吸収する会社)、B株式会社を消滅会社(吸収される会社)として、吸収合併を例に一般的な手続きの内容を確認します。

(1)吸収合併契約の締結

A株式会社とB株式会社との間で吸収合併契約を結びます。
吸収合併契約には、当事者の商号や住所、合併対価の内容、効力発生日などを定めなければなりません。

(2)事前開示事項の備置き

A株式会社、B株式会社は、一定の日から、吸収合併契約や一定の内容を記載(記録)した書面などを本店に備え置かなければなりません。

(3)株主総会の承認

A株式会社、B株式会社は、効力発生日の前日までに、原則として、株主総会の特別決議により、吸収合併契約について承認を得なければなりません。
ただし、略式合併(例えば、A株式会社がB株式会社の特別支配会社である場合)や、簡易合併(例えば、A株式会社がB株式会社の株主に対して、吸収合併の対価として交付する額が一定の範囲内である場合)の際には、株主総会の承認が不要となることがあります。

(4)株式買取請求

吸収合併に反対するA株式会社、B株式会社の株主は、会社法のルールに従って、それぞれの会社に株式を買い取ってもらうことを請求することができます。
株主にその機会を与えるため、両社はそれぞれの株主に対して、原則として効力発生日の20日前までに、吸収合併の相手となる会社の商号や住所を通知しなければなりません。

(5)債権者保護手続き

A株式会社、B株式会社の債権者は、吸収合併に異議を述べることができます。
そこで両社では、原則として、①吸収合併をすること、②吸収合併の相手の会社の商号、住所、③両社の計算書類の一部、④債権者が一定期間内(最低1か月以上)に異議を述べられることを官報に公告し、会社が把握している債権者には個別に催告(通知)をしなければなりません。
ただし、会社が公告をする方法として定款で日刊新聞紙や電子公告と定めている場合に、官報と定款で定めた公告方法の2つで公告をしたときは、債権者への個別の催告は省略できることになっています。

(6)その他の手続き

B株式会社が株券や新株予約権を発行している場合には、株主や新株予約権者に対して、原則として一定の内容を公告したり通知しなければなりません。

(7)効力発生

会社法の手続きなどが滞りなく行われると、吸収合併契約で定めた効力発生日に、吸収合併の効力が発生します。
具体的には、吸収合併の効力発生をもって、A株式会社がB株式会社の一切の権利義務を承継し、B株式会社は消滅(解散)することになります。

(8)事後開示事項の備置き

A株式会社は、効力発生日後遅滞なく、吸収合併によりA株式会社が承継したB株式会社の権利義務、その他一定の内容を記載(記録)した書面などを本店に備え置かなければなりません。

(9)登記

吸収合併の効力発生後2週間以内に、管轄する法務局に登記を申請しなければなりません。
A株式会社については吸収合併による変更登記を、B株式会社については吸収合併による解散登記を申請することになります。

4.合併の注意点

合併を行う際には、上記のとおり、株主総会(例外あり)や債権者保護手続きを行い、登記を申請することとされています。
また、消滅会社が許認可を保有している場合には、合併後に存続会社がその許認可を引き継げるかどうかなどを検討する必要もあります。
これらの手続きの内容により、合併を行うために必要となる期間が、大きく異なることもあり得ます。
そのため、合併を行う際には、期間に余裕をもって、手続きの内容やスケジュールなどをご検討いただくことをお勧めします。

当事務所では、合併や会社分割を中心に、各社様のご要望を伺いながら組織再編の手続きを承っております。
お気軽にお問い合わせください。

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事業再構築補助金と組織再編 https://www.miuraoffice.com/blog-20210531/ Mon, 31 May 2021 14:31:00 +0000 https://www.miuraoffice.com/?p=1495 1.はじめに

2021年5月20日(木)より、事業再構築補助金の第2回の応募が始まりました(第2回の申請の受付は5月26日(水)9時から)。
事業再構築補助金は、一定の範囲の中小企業等が、対象となる事業再構築を行うにあたり、諸々の要件を満たした申請が採択されると交付される補助金となります。
申請に必要となる事業計画は、認定経営革新等支援機関と策定する必要がありますが、事業再構築の中には会社法上の組織再編が利用できる形態もあり、法律の手続きを行うことで選択肢の幅が広がる可能性があります。

2.事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する」ものです(事業再構築補助金事務局「令和二年度第三次補正 事業再構築補助金 公募要領(第2回)」令和3年5月 1.2版)。
そして、事業再構築補助金を申請するためには、対象となる「事業再構築」を行う必要があり、具体的には、「新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換又は事業再編のいずれかを行う計画に基づく中小企業等の事業活動」を行うこととされています(中小企業庁「事業再構築指針」令和3年3月29日改訂、以下「指針」といいます)。

※事業再構築補助金の詳細につきましては、下記のサイトをご参照ください。
出典:「事業再構築補助金」(経済産業省ウェブサイト)
   https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

3.事業再構築補助金における「事業再編」

上記の「事業再構築」の一つの形態として、「事業再編」があります。
もっとも、事業を再編することの全てが上記の「事業再編」や「事業再構築」に当たるわけではなく、法律(会社法)の手続きを踏まえた一定の範囲の活動だけが、ここにいう「事業再編」の対象とされています。
具体的には、事業再構築補助金における「事業再編」とは、「会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うこと」とされています(指針)。
そのため、上記の「組織再編行為等を行うものであること」、「新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うものであること」のいずれにも該当する場合には、事業再構築補助金における「事業再編」に当てはまる可能性があることになります。
一般的に、事業再構築補助金の申請に必要となる事業計画は、認定経営革新等支援機関(一定の場合には認定経営革新等支援機関および金融機関)と策定する必要があります。
それに加えて、会社法などの法律の手続きに従って、合併や会社分割といった会社法上の組織再編行為等を行うことにより、事業再構築補助金における選択肢の幅が広がる可能性があります。

4.組織再編の注意点

会社法上の組織再編、例えば、合併や会社分割を行う場合には、原則として株主総会や債権者保護手続きを行うこととされています。
また、当事者様が許認可を保有されている場合には、合併や会社分割後にその許認可を引き継げるかどうかなどを検討する必要もあります。
これらの手続きの内容により、合併や会社分割を行うために必要となる期間が、大きく異なることもあり得ます。
そのため、事業計画を策定される際には、組織再編の手続きやスケジュールなども併せてご検討いただくことをお勧めします。

当事務所では、合併や会社分割を中心に、各社様のご要望を伺いながら組織再編の手続きを承っております。
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