1.はじめに
ChatGPT、Geminiなどの生成AIのビジネス活用が広がる中で、最近注目されているのがClaude CodeやCodexなどのAIエージェントです。
これまでの生成AIは、人間が質問し、AIが回答するという使い方が中心でした。
しかし、AIエージェントは、目的を与えると、必要な手順を考え、情報を集め、ツールを使い、業務を進めることができます。
社内ファイルを検索・操作する、外部ツールと連携してタスクを実行する、複数のステップを自ら組み立てて自動的に処理するなど、AIエージェントによる様々な動きが可能となります。
つまり、AIエージェントは単なる「便利なチャットツール」ではなく、会社にとっては、業務に関わる“見えない社員”のような存在になり得ます。

この変化は、企業にとって大きなメリットをもたらします。
例えば、業務効率化、調査時間の短縮、資料作成のスピード向上、従業員の負担軽減などが期待できます。
しかし同時に、AIが会社の情報にアクセスし、業務プロセスに入り込み、外部への対応にも関わる可能性があるため、従来の生成AI以上に慎重な管理が必要になります。
そのため、AIエージェントを導入する前に、または社内での活用が広がる前に、社内のルールやガバナンスの体制などを整備しておくことが重要です。
今回は、AIエージェントのビジネス活用におけるリスクと対策について、AIガバナンスの視点からご紹介します。
なお、AI活用のための社内規程作りやAIガバナンス体制の整備などについてのご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
2.AIエージェント導入で起こり得る5つのリスク
AIエージェントを導入するにあたり、そのリスクを理解することは重要です。
例えば、以下のようなリスクが考えられます。
(1)権限を与えすぎるリスク
| AIエージェントに社内ファイル、業務システムなどへのアクセス権限を与えると、業務は便利になります。 しかし、権限を与えすぎると、情報漏えい、誤操作、不適切なデータ利用などのリスクが高まります。 |
(2)人間の確認なく外部に影響が出るリスク
| AIエージェントがメール、顧客対応、SNS投稿、請求関連などの業務に関わる場合、人間の確認がないと、外部に影響が出る可能性があります。 例えば、AIが作成したメールが誤った内容のまま送信される、顧客に不適切な回答をする、契約や金額に関わる表現を間違えるなどのリスクがあります。 |
(3)責任の所在が曖昧になるリスク
| AIエージェントが誤った判断や対応をした場合、誰が責任を負うのでしょうか。 責任の所在が曖昧なままAIエージェントを導入すると、問題が起きたときの対応が遅れ、自社の業務や取引先との関係性に影響が出るなどのリスクがあります。 |
(4)サイバー攻撃を受けるリスク
| AIエージェントは、指示内容に応じて、自律的に外部サイトから情報を収集する可能性があります。 その場合、例えば、外部サイトなどに悪意ある指示が埋め込まれていると、AIエージェントがそれを本物の指示だと誤認して、誤った指示に従ってしまう(プロンプトインジェクション攻撃)などのリスクがあります。 |
(5)シャドーAIエージェントのリスク
| すでに多くの企業で、会社が把握していない生成AIの利用、いわゆる「シャドーAI」が課題になっています。 AIエージェントの時代には、会社が知らないところで、AIが情報収集、資料作成、顧客対応、自動処理などを行い、この課題がさらに深刻化するリスクがあります。 |
3.企業がまず整備すべきAIエージェント・ガバナンス
AIエージェントのガバナンスというと、大企業向けの難しい仕組みを想像するかもしれませんが、最初から複雑な体制を作る必要はありません。
そして、大企業だけに必要というわけでもありません。
特に、中小企業では、現場の判断でAI活用が進みやすい一方で、専任の法務部門、情報システム部門、セキュリティ部門が十分でないこともあり得ます。
まずは、自社の規模や業務内容に合わせて、実務で使いやすい体制を整備することが重要です。
(1)社内規程の整備
社内で使えるAIツール、入力してよい情報、禁止されるAIの使用方法、AIエージェントに任せてよい範囲、任せてはいけない範囲などを整理し、社内規程を作成します。
あらゆる場面で全てのAIの使用を禁止する必要はなく、リスクの高い業務などから優先的に管理することが重要です。
(2)AIエージェントの権限管理
AIエージェントがアクセスできる情報や操作できるツールなどを限定します。
AIエージェントが社内の全ての情報にアクセスできる状態にするのではなく、業務上必要なフォルダーやファイルのみにアクセスできるようにするなど、AIエージェントの行動範囲を限定することが重要です。
(3)人間が確認する設計(Human in the Loop)
重要な判断や外部に影響する行為については、人間の確認を必須にします。
特に、顧客への情報提供、契約関連、金額に関わる判断などは、AIエージェントのみで行うのではなく、人間による確認が重要です。
(4)セキュリティ体制などの整備
AIエージェントが外部情報から受け取った指示をそのまま実行しないようにしたり、AIエージェントの行動を記録し、万一の際にはAIエージェントを停止できる設計にすることが考えられます。
また、一般的にAIエージェントを利用する際には、インターネットに接続されているものと思われますので、サイバーセキュリティ対策を強化することも効果的です。
(5)従業員研修
AI活用のための社内規程を作っても、従業員が理解し、実際に行動できる状態になっていなければ、実効性が薄れてしまいます。
禁止事項だけでなく、安全な使い方、確認すべきポイント、問題が起きた場合の報告方法などを研修で伝えることも重要です。
4.当事務所のご依頼・ご相談例
生成AIやAIエージェントのビジネス活用について、下記のようなお問い合わせが増えてきております。
| ・従業員がChatGPTやAIツールを使っているが、会社として把握できておらず困っている。 ・AIのビジネス活用と顧客情報の取扱いについて、法律などのルールを教えてほしい。 ・生成AIやAIエージェントの活用法をガバナンスの視点からも教えてほしい。 ・生成AIやAIエージェントの活用のための社内規程を作りたい。 ・生成AIやAIエージェントの活用のための従業員研修を行いたい。 |
当事務所では、各社様のご要望を伺いながら、生成AIやAIエージェントのビジネス活用に関する様々なご依頼、ご相談を承っております。
お気軽にお問い合わせください。

















