会社分割の手続きと登記

1.会社分割とは

会社分割とは、株式会社または合同会社が、その事業に関する権利義務の全部または一部を他の会社に承継させることをいいます。
例えば、不動産事業と小売事業を行っている株式会社が、他の株式会社に小売事業を切り分ける場合などに会社分割が利用されます。
会社分割は、第三者どうしの会社でのM&Aとして行われることもありますが、グループ会社の事業再編や経営の効率化を図るために利用されることもあります。
また、事業再構築補助金※において、「事業再編」が補助金の対象とされており、一定の要件を満たす会社分割が、その形態として認められています。

※事業再構築補助金の詳細につきましては、下記のサイトをご参照ください。
出典:「事業再構築補助金」(経済産業省ウェブサイト)
   https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

2.会社分割の種類

会社分割には、吸収分割と新設分割という2つのスタイルがあります。
吸収分割とは、その事業に関する権利義務の全部または一部を、現時点で存在している会社に承継させるスタイルをいいます。

これに対して新設分割とは、その事業に関する権利義務の全部または一部を、新たに設立する会社に承継させるスタイルをいいます。

どちらの場合も、会社分割が行われると、吸収分割契約や新設分割計画で定めた「事業に関する権利義務の全部または一部」が、1つのパッケージのような形で承継先の会社に承継されます(包括承継)。

3.会社分割の手続き

(1)吸収分割

吸収分割の手続きの概要は以下のとおりです。
なお、手続きの内容が吸収合併と類似する部分もありますので、よろしければ「合併の手続きと登記」も併せてご覧ください。

承継会社(事業に関する権利義務を承継する会社)と分割会社(事業に関する権利義務を分割する会社)との間で吸収分割契約を結び、一定の日から、吸収分割契約や一定の内容を記載(記録)した書面などをそれぞれ本店に備え置かなければなりません。

承継会社と分割会社は、効力発生日の前日までに、原則として、それぞれ株主総会の特別決議により、吸収分割契約について承認を得なければなりません。
ただし、吸収合併と同様に、略式吸収分割や簡易吸収分割の際には、株主総会の承認が不要となることがあります。

吸収分割に反対する株主に株式買取請求の機会を与えるため、承継会社と分割会社はそれぞれの株主に対して、原則として効力発生日の20日前までに通知しなければなりません。

承継会社の債権者は、吸収分割に異議を述べることができます。
そのため、吸収合併と同様に、債権者保護手続きを行わなければなりません。
これに対して分割会社の場合は、吸収分割後、分割会社に対して債務の履行を請求できない債権者のみ異議を述べることができます。
言い換えると、吸収分割後も分割会社に対して債務の履行を請求できる債権者は、異議を述べることができず、原則として債権者保護手続きの対象となりません。
そのため、吸収分割に異議を述べることができる分割会社の債権者がいる場合には、承継会社と同様に債権者保護手続きを行う必要があります。

会社法の手続きなどが滞りなく行われると、吸収分割契約で定めた効力発生日に、吸収分割の効力が発生します。
承継会社と分割会社は、効力発生日後遅滞なく、吸収分割により承継会社が承継した分割会社の権利義務、その他一定の内容を記載(記録)した書面などを本店に備え置かなければなりません。
また、吸収分割の効力発生後2週間以内に、管轄する法務局に登記を申請しなければなりません。

(2)新設分割

新設分割の手続きの概要は以下のとおりです。

分割会社が新設分割計画や新設分割により設立する会社の定款などを作成し、一定の日から、新設分割計画や一定の内容を記載(記録)した書面などを本店に備え置かなければなりません。

分割会社は、効力発生日の前日までに、原則として、株主総会の特別決議により、新設分割計画について承認を得なければなりません。
ただし、簡易新設分割の際には、株主総会の承認が不要となることがあります。

吸収分割の場合と同様に、分割会社の債権者は、新設分割後、分割会社に対して債務の履行を請求できない場合のみ異議を述べることができます。
そのため、新設分割に異議を述べることができる分割会社の債権者がいる場合には、債権者保護手続きを行う必要があります。

新設分割は、会社法の手続きなどが滞りなく行われた後、新設分割の登記をすることにより効力が発生します。
設立会社(新設分割により設立された会社)と分割会社は、効力発生日(設立会社の成立日)後遅滞なく、新設分割により設立会社が承継した分割会社の権利義務、その他一定の内容を記載(記録)した書面などを本店に備え置かなければなりません。

4.会社分割の注意点

会社分割を行う際には、上記のとおり、原則として、株主総会や債権者保護手続きを行い、登記を申請することとされています。
そして、分割会社の労働者を保護するため、会社分割を行うにあたり、分割会社の労働者と協議したり、通知することが必要になる場合もあります。
また、分割会社が許認可を保有している場合には、会社分割後に承継会社または設立会社がその許認可を引き継げるかどうかなどを検討する必要もあります。
さらに、内容によって、会社分割の登記と併せて、商号譲渡人の債務に関する免責登記を申請することもあります。
これらの手続きの内容により、会社分割を行うために必要となる期間が、大きく異なることもあり得ます。
そのため、会社分割を行う際には、期間に余裕をもって、手続きの内容やスケジュールなどをご検討いただくことをお勧めします。

当事務所では、合併や会社分割を中心に、各社様のご要望を伺いながら組織再編の手続きを承っております。
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